茜と古本とStrange Summer

【タイトル】
茜と古本とStrange Summer
※タイトルは仮

【主な登場人物】
・茜(女子高生)
・男性客(20代前半位・常連客)
・祖父(茜の祖父・古書店の店主)
※名前は仮

【プロット】
夏、古書店の前通り。
茜が歩いてくる。

古書店の店内。
祖父、椅子に座って本を読んでいる。
扉の開く音。
祖父、そちらを見る。

入口には茜がいる。

茜「やっほー。おじいちゃん、手伝いに来たよ。」

茜、店内に入っていく。

祖父「いやあ、来たね。」

茜、周りを見渡しながら

茜「うへ~。相変わらず。これホントに売れるの?」
祖父「もちろん。ここには人類の叡智が詰まってると言っても過言ではないね。」

茜、祖父の座っている所まで来て鞄を下ろし、冷たく

茜「過言でしょ。」
祖父「部活はいいのかい?」
茜「うん。夏休みの間は午前だけだから。」

壁に掛けてあるカレンダーには昨日までの日にちに「×」がついている。

祖父「じゃあ、ちょっと店番をお願いしようかね。」
茜「まかせといて。」

祖父、ウソ泣きをしつつ、胡散臭い演技で

祖父「茜、お前にはいつも迷惑かけるねぇ…。」

茜もそれに乗っかり、祖父の肩に手をかけ

茜「それは言わない約束でしょ、おとっつあん。」

祖父、素に戻り、立ち上がりつつ

祖父「じゃ、じいちゃんは二階で在庫の整理をしてるから、何かあれば呼んでおくれ。」

茜、交代で椅子に座り

茜「うん。わかった。」

祖父、二階へと階段を上がっていく。
一転して、静かな店内。
茜、ポツンと椅子に座っている。

茜、鞄からスマホを取り出そうとする。
そこへ、扉が開く音がする。
茜、そちらを向く。
男性客、茜を見て、一瞬驚く。(いつものじいさんじゃない、的な)
茜、若干緊張した声で

茜「い、いらっしゃいませー。」

男性客、愛想笑いしながら店内に入る。
茜、軽く息を吐いて、気持ちを落ち着ける。

男性客、本を物色している。
しばらくの後(時間経過を背景等で見せる)
男性客、本を持って茜の所に持ってくる。

男性客「お願いします。」

茜、本を受け取って

茜「あ、はい。」

茜、裏表紙の値札を見て、驚きの声が出る。

茜「に、二千円!?」

茜、二階の方を見上げて

茜「おじいちゃーん!これゼロが一個多いんじゃない!?」

男性客、慌てて制止する

男性客「いや!大丈夫です!」
茜「え?」
男性客「その本、もう絶版で手に入らないものなんですよ。」
茜「あ…そうなんですか…。」

茜、顔を赤くして

茜「すみません…。」

男性客、笑顔でお金を差し出し

男性客「いえいえ。」

茜、顔を赤くしたまま、お金を受け取り、本を袋に入れて差し出す。

茜「ど、どうぞ。」

男性客、袋を受け取り

男性客「どうも。」

男性客、振り返り歩き出す。
男性客、扉を開け、外へ出て行く。
茜、顔を赤くしたまま固まっている。
祖父、階段から顔を出して

祖父「呼んだかい?」

茜、慌てて取り繕う

茜「なっ、何でもないわっ!」


別の日。古書店の店内。
カレンダーの「×」印が進んでいる。

茜、カウンターで客とやり取りしている。
茜、客に本を渡して

茜「ありがとうございましたー。」

客、本を受け取り、店から出て行く。
茜、少し一息つく。
茜、店内の一角に目をやると、先日の男性客が本を立ち読みしている。
茜、無意識にそちらを見る。
男性客、視線には気づかず本を立ち読みしている。
男性客、本を読んでいて、ふいに吹きだす。
茜、少し驚く。
そこへ、男性客の携帯が鳴る。
男性客、慌てて携帯を取り出す。

男性客「あ、もしもし。…うん。」

男性客、慌てて本を棚に戻して、店を出て行く。
その様子を見送っていた茜、男性客が戻した本が棚からはみ出ているのを見つける。
茜、席を立ち、その本の場所まで行く。
茜、その本を取り出して見る。
茜、本をパラパラとめくって見て、難しい顔をする。
茜、男性客の吹きだした所が頭をよぎる。
茜、パンと本を閉じて

茜「よし!」

茜、何かを決意する。


また別の日の昼下がり。
古書店の店内には客は誰もいない。
窓からは西日が射しこんでいる。
カレンダーの「×」印が進んでいる。

茜、カウンターに座って、先日の本を読んでいる。
静かな店内。
響くのはページをめくる音。外からのかすかな雑音のみ。

先程まで、差し込んでいた光が、次第にかげってくる。
やがて、日はすっかり雲に覆われ、夕立が降ってくる。

茜、本を読み終える。
茜、先日の男性客の吹きだした場面を思い出し、訝しげな表情になる。
茜、ふと窓の外を見る。

茜「雨…。」

そこへ、例の男性客が軒下へ雨宿りにやってくる。
茜、ぱっと表情が明るくなる。
が、すぐに表情が曇る。
軒下の男性客の隣には女性がいる。
男性客、茜のほうを見て、手で「ごめん」のポーズをする。
茜、軽く頭を下げる。
男性客、隣の女性と楽しげに話しをする。
茜、それを呆然と見ている。

次第に小雨になり、雲の切れ間から明かりが射す。
男性客と女性、楽しげに会話しながら歩き去る。

茜、軽く息をつき、立ち上がり、外へ出る。
雨上がりの空には虹がかかっている。

茜、虹を見て、笑顔になり、二階の方を見て

茜「おじいちゃん、虹だよー!」

祖父、窓を開けて顔を出す。

祖父「おお…絶景じゃのう…。」

茜「あのさー、読書感想文で書く本、店の本を読んでみたんだけどね。」

祖父、少し驚き

祖父「ほお。で、叡智に触れた感想は?」

茜、満面の笑顔で

茜「ぜんっぜん、わかんなかった!」

祖父「ふむ、茜に、うちの本はまだ早かったかのう。」

茜、背伸びして

茜「さ~て、もうひと頑張りしますかねぇ。」

茜、店内に入っていく。

<おわり>

サクラの季節

【タイトル】
サクラの季節
※タイトルは仮

【主な登場人物】
・佐倉(女子高生)
・中村(男子高生)
※名前は仮

【プロット】
誰もいない学校の廊下。
誰もいない教室。カーテンが風で揺れいている。
黒板には「卒業おめでとう」の文字等描かれている。

学校の校庭。
賞状筒を持って歩く3人程の女生徒達。

女生徒「あ~あ、今日で卒業か~。3年間あっという間だったよね。」

佐倉、少し寂しそうに

佐倉「うん。そうだね…。」

女生徒達、学校の案内板の前を通り過ぎる。
佐倉、ふとその看板を見て、立ち止まる。

佐倉「…。」

数歩先を歩いてた女生徒が呼びかける。

女生徒「佐倉ー。何やってんの?」

佐倉「あ、ううん。何でもない。」

佐倉、歩き出す。

佐倉:モノローグ「入学してきたあの日、この場所で出会って芽吹いた恋。
         私の中で膨らんできた蕾…。でも結局何も言えなかったな…。」


[ここから場面は3年前の入学式]

佐倉、学校の案内板を見て、何やら探している。
そこへ、一人の男子生徒(中村)が来て、隣に立ち止まり、案内板を見る。
しばし看板を見ている二人。

そこに突風が吹き抜ける。
桜吹雪の中、一輪の桜の花が佐倉の髪に止まる。(髪飾りのようにも見える。)
佐倉、それには気づかず、風をやりすごし、看板を見る。
中村、桜の花に気づくが、声をかけるか少し躊躇している。

佐倉、行き場所を確認して歩き出そうとする。
そこへ、中村が声を出す。

中村「サクラ…。」

佐倉「えっ…」

佐倉、振り返り、中村を見つめる。
しばし見つめ合う二人。

中村、佐倉に手を伸ばす。
佐倉、突然の事でどうしていいか分からず顔を赤らめ、目を閉じる。
中村、佐倉の髪にささっていた桜の花を掴み、さくらの前に差し出す。

中村「これ、さっきの風で髪に引っ掛かってたよ。」

佐倉、ドキドキが止まらないまま、花を受け取る。

佐倉「あ、ありがとう…。」

佐倉、取り繕いながら

佐倉「…あの、私の名前も『さくら』だから、突然名前呼ばれてびっくりしちゃった。」

中村、笑顔で

中村「ああ、そうなんだ。…確かに似合ってたからそのままでもいいかと思ったけど。」

佐倉、さらに顔を赤らめる。

中村「俺は中村。じゃ、またな佐倉。」

中村、片手を軽くあげてその場を歩き去る。

佐倉、顔を赤らめたまま、呆然と中村を見送る。

佐倉:モノローグ「どうしてなんだろう。誰かに教えてもらわなくても
         初めてのこの気持ちが何なのかちゃんとわかる。
         …これが恋なんだって。」


女友達と帰っている佐倉。

佐倉「じゃあ、また連絡するね。」

女生徒「うん。またね!」

佐倉、友達と別れひとりになり、家路へと向かう。
佐倉、ポケットから桜の押し花を取り出す。
佐倉、桜の押し花を見ながら、少し寂しそうに

佐倉「中村君とは進路も別だし、もう会えないかな…。」

そこに入学式の時と同じような突風が吹く。
手に持っていた桜の押し花が、手から離れて空に舞い上がる。

佐倉「あっ!」

佐倉、慌てて走り出す。
押し花、誰かの足元に舞い落ちる。
その誰かが、押し花を拾い上げる。

佐倉、走ってきて立ち止まり、驚く。
中村、押し花を手に持って、見ている。

佐倉、顔を赤らめて

佐倉「中村君…。」

中村、佐倉を見て

中村「この桜、入学式の日のやつ?」

佐倉、ちょっと驚きつつも、平静を保とうと

佐倉「うん…。」

中村、桜の押し花を佐倉に差し出す。
佐倉、それを受け取る。

佐倉:モノローグ「覚えててくれだんだ…。」

中村「髪、伸びたな。」

佐倉、そう言われて髪を触りながら

佐倉「うん…。」

中村、横にある桜の木を見上げる。
桜はまだ蕾にもなっていない。

中村「桜の木ってさ、花が咲けばみんなが見てくれるけど、でもそれは
   本当に短い間でさ、普段はあまり特別注目して見たりはしないよな。」

佐倉、意味もわからず相槌をうつ。

佐倉「…うん。」

中村「でも、俺は入学式のあの日から、三年間、ずっと佐倉の事を見てたんだ。」

佐倉、ハッっとして、中村の顔を見て、うつむく。

中村「俺、お前の事」

佐倉「待って!」

佐倉、中村の前に手を出して言葉を遮る。
佐倉、うつむいたまま、小走りになり、中村を追い越して立ち止る。

中村「佐倉…。」

佐倉「…ごめん!私に言わせて…」

佐倉、持っていた押し花をぎゅっと胸に押し当てる。

佐倉「あの…私、入学式のあの時から、ずっと中村君の事が好きだったの!
   だから…あの…これからも、私と一緒にいてくれないかな…。」

中村、軽い驚きから微笑みに変わり

中村「ああ。俺もずっと佐倉といたいと思ってた。」

佐倉、中村の方にパッと向き直り、泣き笑いのような笑顔で

佐倉「ありがとう…。」

並んで歩き出すふたり。
桜の枝には少し膨らみ始めた蕾が1つある。

<おわり>